「穴の空いたバケツ」に、いくら水を注いでも意味がない

木村さん、ちょっと相談したいんですけど……。

ん?どうしたの?

うちのホームページ、全然問い合わせも求人応募も来なくて。
やっぱりSEO対策にお金をかけて、まずはアクセスを増やした方がいいんですかね?

うーん。SEOも大事だけど、その前に一回、今のホームページを見直してみた方がいいかもしれないね。

というと?

仮にSEO対策をして、アクセスが今の10倍になったとしてもさ。
サイトを見た人が「ここに問い合わせてみよう」「ここで働いてみたい」と思えなかったら、結局はそこで離脱しちゃうよね。

ああ……。確かにそうですけど…。

だから、私はよく「穴の空いたバケツ」の話をするんだよ。

バケツですか?

うん。穴が空いたままのバケツに、いくら水を入れても溜まらないでしょ。
それと同じで、サイトの中身や情報発信の状態が整っていないままアクセスだけ増やしても、なかなか問い合わせや応募にはつながらないんだ。
アクセス数は「入り口」に過ぎない
SEO対策によって検索結果からホームページを訪れる人が増えることは、もちろん大切です。
ただ、そこで終わりではありません。
せっかくサイトを訪れても、「どんな施設なのかよく分からない」「最近の様子が見えない」「ここで働くイメージができない」と感じれば、そのまま別の施設を探してしまうこともあります。
SEOは、あくまで「見つけてもらう」ための入り口。
その先で、施設のことを知ってもらい、「ここなら安心できそう」「もう少し話を聞いてみたい」と思ってもらえる情報が用意されていることも重要です。

SEO対策で増やせるのは、まず「サイトを見てもらう機会」です。
その先にいるご家族や求職者を逃さないためには、サイトの中身や情報発信の状態も一緒に整えておく必要があります。
プロの綺麗な写真より、「昨日のレクの写真」が伝わる理由

でも、うちのサイト、写真は結構こだわってるんですよ。
プロのカメラマンにも撮ってもらって、施設もきれいに見えるようにしてます。

うん。それはもちろん大事だと思うよ。

ですよね!

ただ、それだけだと「今の施設」が見えにくいんだよね。

今の施設……?

たとえば、施設を探しているご家族がホームページを見たとして。
きれいな施設の写真は載っているけど、ブログの更新が2年前で止まっていたら、どう感じる?

うーん……。情報が古いとか…。最近はどんな感じなんだろう?って気になるかな?

そうそう。逆に、昨日やったレクリエーションの写真が載っていたら?

あ〜。ちゃんと今も活動してるんだな!って思いますね。

でしょ。プロが撮った写真と、現場のスタッフがスマホで撮った写真って、役割がちょっと違うんだと思う。
ユーザーが知りたいのは、「今の施設の様子」
施設を探している人にとって、きれいな施設写真や整えられた紹介文はもちろん必要です。
一方で、それだけでは「実際にはどんな雰囲気なんだろう」というところまでは分かりません。
たとえば、最近行ったレクリエーションの様子や、スタッフが普段どのように利用者さんと接しているのか。
職員研修や季節のイベントなど、日々の現場には、ホームページに載せられる情報がたくさんあります。
スタッフへのインタビューもその一つです。
「この仕事を続けている理由」や「仕事をするうえで大切にしていること」などが分かれば、求人情報だけでは伝わりにくい職場の雰囲気も見えてきます。
大切なのは、プロが撮った写真を否定することではありません。
施設の基本的な魅力を伝える写真に加えて、普段の現場の様子も見えるようにしておくこと。
それが、ホームページを見た人の安心感につながります。

「きれいなサイト」だけではなく、「今の施設が分かるサイト」にする。
普段の現場にある写真や出来事も、施設を知ってもらうための大切な情報です。
業者の問題だけじゃない。「誰もログインできない」Webサイト

なるほど……。そういえば、うちもブログ、1年くらい止まってます。

1年かぁ。それはちょっともったいないね。

更新しようとは思うんですけど、管理画面のログイン方法が分からなくて。
前に作ってくれた業者さんに聞かないといけないんですよ。

ああ、それは結構大きな問題だね。

しかも、ちょっと文章を直したいだけでも、まず業者さんに連絡して、対応できるか確認して、場合によっては見積もりをもらって……ってなるので。

それだと、「じゃあ今回はいいか」ってなっちゃうよね。

そうなんですよ(笑)。

でも、これって業者さんが悪いとか、担当者が更新をサボってるとか、そういう話だけじゃないと思うんだ。

というと?

そもそも、自分たちの会社のホームページなのに、誰が管理していて、誰が触れるのか分からない状態になっていることが問題なんだよ。

……確かに。
うちも「ホームページのことは○○さんに聞けば分かる」くらいしか把握してないかも…。
更新が止まる背景にある「Web管理のブラックボックス化」
ホームページの更新が止まってしまう原因は、現場の意識だけとは限りません。
CMSのログイン情報やドメイン・サーバーの契約情報などが、過去に制作を担当した業者や、すでに退職した職員の手元に残っているケースもあります。
「ちょっと修正したい」と思っても、誰に連絡すればいいのか分からない。
写真を追加したくても、自分たちでは更新できない。
そんな状態では、現場で新しい情報が生まれても、それをタイムリーにホームページへ反映するのは難しくなります。
大切なのは、外部の業者に頼らないことではありません。
自社のWebサイトについて、法人側でも管理できる状態になっていること。
まずは、誰がどのサービスを管理しているのか、ログイン情報や権限がどこにあるのかを整理しておくことが大切です。

「更新できない」の前に、「誰が管理しているか分からない」状態になっていないかを確認してみましょう。
Webサイトを自社で把握・管理できる状態にしておくことが、継続的な情報発信の土台になります。
「ブログを書いておいて」では回らない。現場が発信しやすい仕組みをつくる

じゃあ、管理権限を整理して、自分たちで更新できるようにしたらいいんですね。

うん。それは最初にやっておいた方がいいと思う。

あとは現場のスタッフに「ブログも更新してね」とお願いすれば……。

いやいや、それだけだとたぶん続かないよ(笑)。

やっぱりですか(笑)。

介護の仕事をしながら、パソコンを開いてブログを書いてって、なかなか難しいでしょ。

ですよねぇ〜。現場に「もっと発信して」なんて言ったら、それだけ負担を増やしちゃいますし。

そうなんだよ。
だから、私が見直したときは、「どうやって頑張って更新してもらうか」じゃなくて、「どうしたら負担なく情報を集められるか」を考えた。

おお…!具体的にはどういう!?

たとえば、現場で写真を撮ったら、決めた場所に入れてもらう。
そこに「今日は○○をしました」くらいの一言を添えてもらう。それをWeb担当が記事にする。

役割分担ということですか?

そうそう。現場にお願いするのは、あくまで「何があったか」を教えてもらうところまで。
文章を整えて記事にするのは、Web担当の仕事にすればいいんだよ。

なるほど。現場の人は写真とちょっとした情報を渡すだけで良いんですね。

うん。それなら、パソコンを開いて文章を考えるところまで現場にお願いしなくても済むからね。

それなら「ブログを書いてください」より、ずっとお願いしやすそうです!
経営者に必要なのは、「更新して」と言うことではなく仕組みをつくること
Webサイトの更新を続けるために、現場のスタッフへ「もっと発信して」とお願いするだけでは、なかなかうまくいきません。
介護の現場には、日々たくさんの出来事があります。
問題は、情報がないことではなく、その情報をWebサイトまで届ける方法が決まっていないことです。
たとえば、現場で撮った写真を共有する場所を決める。写真と一緒に簡単なコメントだけ送ってもらう。Web担当者がそれをもとに記事を作る。
あるいは、スマートフォンから簡単に更新できるCMSを用意する。
大切なのは、「現場に発信を丸投げする」のではなく、現場の負担をできるだけ減らしながら、情報が自然に集まる流れをつくることです。
こうした、現場の情報を無理なくWebサイトへ届けるための仕組みが、「発信インフラ」です。

SEO対策を考える前に、まずは「現場の情報がWebサイトまで届く仕組み」があるか確認してみましょう。
発信を個人の頑張りに頼らず、続けられる環境をつくることが大切です。
SEO対策の前に、「今のホームページ」を一度見てみる

なんだか、SEOの話をしていたはずなのに、最後はWebの管理の話になりましたね。

そうなんだよね(笑)。

でも、言われてみると、検索順位を上げることばかり考えていて、「検索して来てくれた人に何を見せるか」はあまり考えてなかったかもしれません。

うん。まずはそこなんだと思う。

ですね。今のホームページを見て、情報が古くなってないか、施設の様子がちゃんと伝わるか、それから誰が管理しているのかも確認してみます。

うん。それを確認してからでも、SEO対策は遅くないと思うよ。
検索結果で見つけてもらうことは、もちろん大切です。
でも、その先にいるのは、実際に施設を探しているご家族や求職者です。
ホームページを見て、「ここなら安心できそう」「この職場の雰囲気、なんとなく分かった」と思ってもらえるか。
そして、必要なときに問い合わせや見学、応募へ進める状態になっているか。
SEO対策は、検索順位だけで完結するものではありません。
「見つけてもらう」ことと、「施設を知ってもらう」こと。
その両方を考えてこそ、ホームページは集客や採用のための役割を果たせるようになります。
あなたの法人は大丈夫?3分でできる「Web管理・発信体制リスク診断」
「アクセスが増えない」「応募が来ない」と感じたとき、まずはSEO対策だけに原因を求めるのではなく、自社のWebサイトがきちんと運用できる状態になっているか確認してみませんか?
- CMSのログイン情報を把握しているか。
- ドメインやサーバーを誰が管理しているか。
- 現場の写真や情報を共有する方法が決まっているか。
- 今のホームページに「最近の施設の様子」がきちんと載っているか。
簡単な質問に答えるだけで、現在のWeb管理・発信体制をチェックできます。